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本日の事例は(旧)宅地造成工事規制区域内で擁壁工事をした際に、宅地造成等規制法にかからない様に擁壁を設置した例(厳密には弊社建売事例)です。
「なんのこと?」と思われるかもしれませんが、高低差がある地域では中々頭を悩ませる問題でもあります。
現在「宅地造成等規制法」は熱海の土石流災害もあって、「盛土規制法」と抜本的に改められました。それよりも以前から(阪神淡路大震災以降)、全国的にコンクリートブロック(CB)での土留め目的の擁壁利用が厳しくチェックされる様になってきていて、新たに戸建てを建てる際や建て替えをする際には地域差もありますが、自治体からの敷地内外の高低差に対して指摘も多くなってきた印象です。
本件は、その(旧)宅地造成工事規制区域内で、ちょうど高低差が2mある宅地に「駐車場がなかった」ため、駐車場を新たに設けようとした際のお話です。

計画地では、左右から続く既存の間知擁壁がある区画で、現状で敷地内に入るためには既存の階段しかありませんでした。前面道路は左側隣地が高く、右側隣地が低い、ちょうど坂の中腹に位置する計画地で、右側隣地では計画地側に既存のコンクリート擁壁を設けていましたが、計画地の北側・西側は同じ敷地の高さでした。

この様な高低差のある地域では近隣と計画地とのGL(グランドレベル:土木・建築用語で「地盤面の高さ」を指します。)が重要です。このGLを測ってみると、ざっくりと上記の様になりました。
GL200(厳密には㎜単位まで測りますので、本来は4桁の記載です。ここでは分かり易く「㎝」表記としています)とは、計画地の前面道路にあるマンホール(動かない目印として)を「高さ0㎝」にした場合、土地の高さはそこから200㎝上がっている、という意味になります。
高低差測量ではどこかの基準点から様々な地点を+-で表記されますので、こういった高低差のある土地で何かをしようとしたら必須の測量でもあります。
この計画地で駐車場スペースを設けようとすると、大体次のような形をイメージするでしょうか。

この計画案の様にGL200㎝に対して擁壁を設けようとすると、高さ200㎝の擁壁を立ち上げることになり、その場合だと宅地造成等規制法の規制がかかることになるので、時間や費用が余計に係ることになります。そこで土地の造成も含めて検討し直すことにしました。

そこで計画地を180㎝に掘り下げ、擁壁の高さも170~180㎝にすれば2m以内に収まります。これであれば宅地造成等規制法の規制にかからずに擁壁を新設することができます。ただし、隣地からは20㎝下がることになり、敷地内でも擁壁に合わせて10㎝程度の高低差が生まれることになりますので、本件の場合ではこれを外構計画で調整しました。

本件の場合は余り計画地が広くなく、駐車場スペースを設けて建物を建てると敷地内もパンパンになることが想定されていましたので、上物を建てた後に敷地周りのCB塀を計画しないと上物の建築計画にも影響を及ぼす可能性がありました。これは計画地の広さによって施工の順番が変わるお話でもありますが、もっと余裕のある宅地であれば擁壁施工と同時に宅地内のCB塀を施工する方が隣地対策としては安全です。
また本件の場合、実際に設けた駐車場スペースは当初の計画案より幅が狭いものになりました。これは駐車場の幅を目一杯広げて、掘削も隣地ギリギリの部分を攻めると隣地の建物にどう影響が出てくるかが不明確であった点と、計画上隣地と高低差ができますのでその取り合いを調整するCB塀を考えると、少し余裕がないと施工し辛い点からの判断でした。結果としては最低限の目的が達せられる大きさに改めることで費用の削減にもつながっています(両側まで広げていると、見た目はカッコいいのですが…)。ただ、当初は18㎝厚のコンクリート壁を想定していましたが、構造計算を入れると30㎝厚の図面になって返ってきました…。
最後に本件を横からみた場面です。

本件は前面道路から水道管などの生活インフラが引き込まれていましたので、今回の駐車場スペースを設ける際にはこういった管工事も必要になります。

計画地全体のGLを20㎝下げ、更に敷地内で新設の擁壁に向かって10㎝下がっているイメージ図です。この部分は実際に天板に立って見てみると余り実感し辛い部分です。
今回は建物が建った後の建物の周り(犬走)を埋め戻したかったので、下記の様に段差を作ることで調整しました。

埋め戻すとCB塀に係る土圧を少しでも緩和することが期待されますので、長く利用できるようにそういった措置を取らせていただきました。
今回はストレートに擁壁(逆L字擁壁)を設置しましたが、こういった高低差のある土地では様々な対応方法があります。擁壁にも様々な種類があり、コンクリートブロックにも実は様々な種類があり、中には土留めができるブロック塀もあります。その土地の地質に応じて様々なモノがあるので実に奥が深い話題でもあります。この擁壁に関しては、都内でも多くみられますし、度々ニュースにもなっていますので、別の記事でも取り上げる予定でいます。その際には本記事にもリンクをする様にいたします。
EABでは過去の様々な不動産取引を通じて、お客様の利益になる様なお取引をご提供していきたいと思っています。擁壁は結構身近な話題で、重要な話題でもあります。思いがけない問題を引き起こす可能性もあるので、売るのも買うのもしっかり調査をしてから対策を考えるのが良いと思っています。




