2025.10.7

■事例紹介■「1宅地で売るより小さく分けた方がいいの?:1区画→2区画販売編」

いつもご覧いただきありがとうございます!

今回の事例は弊社でも何度もやらせて頂いていますが、分筆できる宅地であれば、結果的に分筆して売却した方がお得になったケースを取り上げています。

今回の事例は、土地の大きさがおよそ100坪、道路には1面しか接しておらず、しかも大きな地下駐車場があり、古い石積み擁壁も約3mという高さで積みあがっていました。調査の結果では、この地下駐車場や古い石積み擁壁には造られた履歴が役所になく、売主様も相続で引き継いだ土地でそれ以上のことはわからない、というお話でした。

この場合、地下駐車場や古い石積み擁壁は「構造不明」ということで再利用が認められません。構造物の調査を別途入れると、その結果次第で使えるかもわかりませんが、ある意味「賭け」の要素もあるのでちょっと提案し辛い部分があります。

少し余談ですが、地下駐車場は屋根がある構造物=建物という判定なので、通常登記の対象になり、課税対象にもなるのですが、屋根がなければ単なるコンクリートの塊となるので、登記の対象にもならなければ課税対処からも外れるという不思議な話があります。

屋根の部分を解体すれば建物ではなくなるので、(所有者の判断で)事後も使い続けることはできたのですが、今回の事例では、その屋根の部分の上にも土が被さっている状態でした。屋根の部分を解体して同時に土を出すと、その部分に対する宅盤全体の高さも変更することになるので、この提案も難しいところがありました。

そういった前提があり、当初は売主様の意向もあまり難しくない方法で…ということで、現状有姿のまま100坪で販売していたのですが、この石積み擁壁や地下駐車場がどうしてもネックで、更地にしますと言っても価格をいくら下げても反応がなく、時間も大分過ぎようとしていました。

ここで売り方を大きく変えましょうとご提案しました。土地を分筆して、宅地造成工事をしっかりして販売しましょう、という方針です。ただ道路から宅盤まで3mある擁壁となると、それ相応の金額にもなります。そこでこの提案の形で販売活動をして、契約が決まったら宅地造成工事を実際にしましょう、という企画先行型の2区画販売方法に切り替えました。

この方法だと土地が売れた金額で工事代金を支払うことができます。売主様の手出しが一切ない方法なので、売主様にとっても安心だと思います。今回の事例では工事の費用は1区画販売できれば賄えるものだったので、1区画でも売買が決まればこの宅地造成工事を進める予定でいました。2区画にすることで1区画あたりの販売単価を大幅に下げることもできたとあって、実際にはこの方法で販売活動を仕切りなおすと1~2か月で2区画ともに買い手がつき、すぐに工事の手続きに入ることができました。

この宅地造成工事とは、山林や農地などの土地を建築可能な宅地にするための工事で、切土・盛土、擁壁の設置、排水施設工事、地盤改良などが含まれます。以前は「宅地造成等規制法」と呼ばれていましたが、2023年に「盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)」に改正されています。元々丘があった地域や高低差の宅地が多い市街地では勝手に宅地造成工事をされては敵いませんので、宅地造成工事規制区域と呼ばれる区域に指定することで、工事をする際には事前に都道府県知事等の「許可」を得る方法が採られています。この「許可」は建築確認などの「許可」と同じで、「許可」なしに販売活動ができない点で、この部分だけ建築士などへの先行費用が発生します。

そういった意味でもこの企画先行型販売への切り替えには売主様のご決断も重かったと思いましたが、少なくとも長く販売活動をしていた中で、この地域で土地を探されているお客様が一定数いるということが分かっていましたので、それもご決断の一助になったかもわかりません。

もう1点注意事項がありまして、基本的に1宅地を2筆以上に分筆して、その分筆した土地を販売することは、取引の反復継続性があるとみなされ、一般の方々では禁止(宅建業法違反)されています。この反復継続販売は不動産屋限定の販売方法になっています。そのため今回の事例の際には企画先行型販売で売買が決まった際に、弊社が売主様から本件土地を買い取り、そこから2区画の売買をしています。

この買い取りの場合は、お客様との成約価格が分かってのことなので、買い取り価格もかなり調整したものになっています。全て筒抜けの中でも買い取りが一つの手段になるのであれば、弊社では積極的に提案させて頂いております。この点に関しましても色々とありますので、また別の機会にでもご説明させていただきます。

結果としては少し重たい分筆のお話になりましたが、分筆して、大規模な工事もして良かったと感謝してもらえた案件となりました。弊社ではこういった内容でも、1から100までしっかりとフォローさせていただいております。ちょっとどうしようか、という不動産でも色々な面からしっかりと検討させていただきますので、お気軽にお声がけくださればと思います。

最新の記事Latest Posts

LINEお問合せはこちらから