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少し前の話になりますが、ある高齢のお客様より住み替えのご相談をいただきました。
今のご自宅の一軒家が少し不便な駅で、駅からも距離が若干ありました。若い頃はよくても自身が高齢になると毎日使いが辛くなってくる、車も夫婦共にいつまで乗れるか分からないという中で、奥様が(軽微でしたが)車で事故を起こしてしまった事をキッカケに、この歳で住み替えを考える事にしたそうです。
ご要望としてはご自宅の売却資金の範囲で購入できる駅近マンションで、広さは夫婦2人なのでそれほどは望まず、立地重視で築年数は資金面で問わないというものでした。
そこでお客様のご自宅の調査に伺うと、このご自宅は大手ハウスメーカーの古い分譲地でしたが少し変わった形をしていました。

分譲住戸専用の駐車場を囲うかたちで各住戸が建てられていて、パッと見た感じでは一部の宅地と道路が繋がっていない様でした。(建物は建築しようとする目的の宅地が法の定める道路に接していないと原則建てられません)
そこで役所調査をしてみると、この駐車場一帯は一宅地で分譲する際に43条空地(旧:但し書き/現:2項2号)で申請されていて、その空地を使って建物は建てられていた事がわかりました。
この43条は宅地は道路に2m以上接していないと建築物が建てられないと規定していますが、その接道要件を満たさない土地に対しての特例措置を同条但し書きで規定しています。
「ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物、その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて、建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。」
※上記は改正前の条文で、2018年の改正により「ただし、」以降は、現在の第43条第2項第2号になっています。
つまり建築審査会の同意があれば再建築できますが、同意は手続きが必要になるので100%ではないという意味も込めて、物件の紹介の仕方としては「再建築不可、ただし〜」となります。
本件に関しては駐車場は取れているので分筆の仕方次第で空地を回避できた気もしますが、空地にすることで分譲地としての見た目は確かに整理されています。この駐車場の管理も分譲地の皆さんで行う管理規約が設定されていて、ほったらかしという訳でもありません。
それでも43条空地にすると建築審査会の許可が必要になり、その審査会は毎月開催される訳ではなく、許可も申請してみないと通るかどうかは不明確です。一応の救済措置はありますが、通常の建築手続きに比べると時間も手間も変わってきます。わざわざ一手間加えなくても…とは思いましたが、これは昔と今では考え方も違うのかなと思うばかりです。

この取引自体は無事に終わりましたが、当初はこの売却資金で住み替え先を考えていたところ、ご夫婦の息子さんが親孝行という意味も含めて息子さん自身で広めのマンションを購入し、そこに両親を呼び込むというご夫婦にとってはありがたいことが起こりました。この売却資金が老後資金に取って代わったと喜びに変わったのも印象深いものになりました。
住み替えは売って終わりではなく、同時に次も探さないといけないので結構大変ですが、(今回の例は少し特殊ですが)EABではお客様のペースを大切に、ご縁を結び続けています。



