2025.7.10

最近の戸建て事情

新築戸建てを建てたいけど、どうしたらいいのだろう、という疑問について、近年建築基準法が色々と改正されていて様々な分野で消費者保護対策がされていますので、今回はその点に絞って解説していきたいと思います。

戸建てを考えるにあたり、大手ハウスメーカーがいいのか、地元工務店の方がいいのか、建築事務所に相談した方がいいのか等々、色々と悩まれることと思われますが、まず大前提としては現状の建築基準法で戸建てを建てることになりますので、最低限の消費者保護の仕様は変わることはありません。それ以上の保証や保護等に関しては、各ハウスメーカーの企業努力になっています。

近年の建売を含め、戸建てを建てる際には以下の2つの制度利用がほぼ必須となっています。

1)地盤保証

2)住宅瑕疵保険

近年日本政府が推進する「省エネ住宅」は、いままでの住宅より省エネ性能を求めていくため、建物自体の重量が増えていくと考えられています。そのため、今までの建物より重い建物を支えるため、地盤調査は必須と位置付けられています。この地盤調査で必要な地盤改良の度合いが分かるので、現在ではこの地盤調査~改良までの流れはその道の専門業者に依頼する事が多くなっています。その専門業者の指示通りに地盤改良工事を行い、その工事に付き「地盤保証」が付与されることになっています。

この保証期間は専門業者によりけりですが、20~30年が多いです。

この「地盤保証」を受けられれば地盤沈下による建物の傾き等が起きた場合の補償を受けられることができます。保証費用もそれほど多くないので、現在の新築戸建てではこの「地盤保証」をほぼ取得して建てられています。

建物の方では、現在の法令では建物を建てる事業者には住宅瑕疵担保履行法により「住宅瑕疵保険」に加入することを義務付けられています。これは構造計算書偽造事件やリーマンショック時などの期間に住宅メーカーの倒産が増加した結果、新築住宅の購入者がメンテナンスを受けられない、等の実害が起きたために整備された法律です。新築住宅は引渡日から10年間、仮にその事業者が倒産したとしても、その期間中に住宅内から隠れた瑕疵(構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分の瑕疵)が発見された場合にはその修繕費用の保証をします、という制度になっています。

しかし昨今から建築中の建設業者の倒産も問題になるケースが多く発生しています。

建築中の工事現場は、基本的にその建設業者のモノとして扱われるところ、その権利関係については中々複雑です。先ほどの住宅瑕疵保険は竣工した後の保証に対し、建設中の保証に関しては別の制度、「住宅完成保証制度」が必要になります。これは一般的には建設業者が取得するもので、小さな工務店でも大きな工務店でも変わらず、あるかないかの話になります。

この制度に加入している建設業者であれば、住宅の完成前に万が一倒産等により工事の継続が不可能になった場合でも、保証会社から保証証書上の限度はありますが、発注者に金員を支払うことで工事の完成支援を受けることができます。

この様に大手でなくても様々な消費者保護をする制度が現在では確立されています。そういった意味では企業規模の差はあっても、昔ほど心配する事は少なくなったかも分かりません。例えば瑕疵保険に関しては、着工前に保険会社に申請しますので、その時点で書類の有無がはっきりしています。工事中も保険会社による現場検査があるので、建築現場に第三者の目が入る様にもなっています。住宅完成保証も、登録業者(建設業者)には定期的な審査が入ることになっていますので、登録しっぱなし、ということでもありません。

昔に比べて建設業界の規制が厳しくなったとも言えますが、それはやはり消費者保護の優先があるからだと思っています。昨今の建築費の高騰を受けて、様々な選択肢が広がった様にも感じていますが、その土台としてこれらの制度はその一助になっていると感じています。

ちなみにですが、建設業者の中には、建売価格と注文住宅価格で差を設けている会社もあります。この場合、注文住宅の様な間取でその会社に不動産屋が発注すれば、建売価格でやれる、という事もできます。それ以外にも外構や土木など個別に発注すればマージン代を省くことができますので、そういった費用調整もやろうと思えばできたりします。

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