2025.11.5

■事例紹介■「セットバック:私道で道路中心線がない編」

2025年12月12日更新

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本日の事例は私道でセットバック(道路後退)が必要な土地なのに、その前提となる道路中心線がない場合のお話です。
建築基準法では「原則(道路幅)4mの道路に接する土地でないと建物は建てられない」と定めていますが、その主な理由は緊急時に消防車や救急車が入れない道路だと危ないから、とされています。
しかし実際は4m道路が整備されている地域ばかりではなく、古くから都市形成されてきた地域では4m以下の道幅で住宅地や商業地が造られてきたところも多く、これは都内でも多く残されています。

そういった4m未満の道路幅に接する住宅地の建物を全て「建物は建てられない」とするのも現実的ではなく、建築基準法42条2項で「4m未満の道路の中心から2m(3m)の線をその道路の境界線とみなす」という救済措置条項が定められています。
4m未満の道路を「2項道路」や「みなし道路」と呼ばれるのはこういった経緯からで、その宅地所有者が建て替えなどをする場合には宅地内に道路部分を設けなければなりません。

道路中心線がない道路というのは、42条2項でみなし規定はあっても、本当にどこが道路中心線か未だ測っていない道路を指します。公道であれば役所が適時測っていきますので大体あるものですが、私道の場合はあくまで私道も「私有財産の一つ」なので役所の公権力が及びません。そうした事を背景に、特に私道には道路中心線がない道路、というものが出てきます。
ではどう決めていけばいいか、というお話ですが、現況から「ここが道路中心線だよね」と個人が勝手に決めていいものではありません。あくまでその私道に接する方々との協議の上、お役所に「この道路(私道)、近隣の方々と調査・協議をした結果、このポイントを道路中心線とします」という申請をすることで、役所もそう認識することになります。

役所への協議(申請)の前に、その道路に接する当事者の間で合意をします。イメージとしましては、自分の宅地の目の前の道路について、その道路に接する方々で合意をする、となります。これはあくまでも自分の宅地の目の前の道路に限った合意になるので、その私道全体の合意にはならないことになります。そのため、下記の様に道路中心線を意図的にずらした事例もたまに見受けられます。

例えば宅地Bの所有者が不動産業者で、原則の通りに道路中心線を設定すると宅地Bが分筆できないので、宅地Aの所有者と協議を行い、中心線をずらすことで分筆ができる様になる、などが想定されます。セットバックをすると、その道路部分は建物を建てる際の敷地面積に換算されない規定からきています。

宅地をセットバックすると、所有する宅地に「道路」と「敷地」の2つが存ずることになります。
一般的に敷地を2筆以上に分筆する際には「最低敷地面積」と呼ばれる分筆規制が自治体毎に設定されているケースが多く、その規制に沿った分筆をしないと、次は建築する際に敷地要件を満たさないとして建築確認が下りない場合があります。そのためにセットバックの位置というのは敷地の面積に直結する重要な要件になりますので、「合意」という話し合いの中では上記の図のような結果になることもしばしばです。

特に「私道」は基本的に民間の財産ですので、お役所が介入する部分は少な目です。それでも役所に対して、「この私道の道路中心線はここです」などと申請をしておくと、その私道の道路中心線の記録が残ることになるので、将来的な紛争防止の役割も出てきます。なので、基本的に「道路中心線のない道路」で建て替えなどをする場合は、道路中心線の明示は必須事項にもなっています。

上の画の様な区画で道路中心線の協議をすると、どこを取っても近隣の方々とお話をしていかないといけませんので、作業面でも大変です…。実際はこれが直線ではないケースもあるので、変な決め方ではなく、一般的な原則論で決まる方が多いと思われます。

ちなみにですが、「道路」を公図から探ろうとしても非常に分かり辛いケースがあります。敷地の一部を現に道路として提供していても、道路部分の分筆をしていなければ公図のどこに道路が通っているか・その道路の面積も判別し辛いものがあります。
これは将来的に私道をやめたい、公道として役所に引き取ってほしい、という議題の際にも生じる可能性があります。


セットバックをしたら、その敷地内に道路部分と敷地の2つの区画が生まれます。公図上でその様に表記していなければ測量図面などでは面積が分かっていても、それが本当に正しいかどうかはまた別の話になってしまいます。
分筆をしたら、少なくとも区画が増えるので、その区画には「境界杭(鋲)」が打たれます。杭が打たれるということは、再現性のある敷地が生まれたとも言えます。最近は境界座標も登記されているからです。しかし分筆をしなければ図面上の面積だけしかなく、それを他人に説明しても登記されていないので真偽がわかりません。
誰から見ても分かり易く「明示」するという意味も含めて分筆があります。役所が私道を引き取る際の条件の一つに「確定した道路部分の分筆」をあげているのはそういった意味があります(他にも「舗装済」や「側溝があること」などがあります)。
分筆をして道路部分の面積をはっきりさせれば、固定資産税等の評価から明確に除去し易い面もあります(道路は公衆財産として非課税です)。
なのでセットバックをしたら一緒に分筆しておくこともお勧めしています。

弊社の過去のお客様で、本事例の様に道路中心線から調査を行い、道路面積と敷地面積をはっきりさせてたことで分筆することができると分かり、当初の買取査定より実際の売却金額が大きく上振れしたケースもありました
私道は色々と問題を含みやすいので買取査定も安くなりがちですが、弊社ではそこからお客様のお手伝いをしています。

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